「フィリピンの獣医大を卒業したら、そのまま日本で獣医師になれるの?」

答えは「なれます。ただし特別な手続きが必要です」。

日本の獣医大を卒業した人は、卒業(見込み)と同時に国家試験の受験資格を得られます。しかし海外の獣医大卒業者は、農林水産省に「受験資格認定申請」を行い、審査を通過して初めて受験できるのです。

この記事を書いた人|ぱぐ

現役獣医師・フィリピン国立大学獣医学部卒。2012〜2016年にフィリピン国立大学(UPLB)獣医学部に4年間在籍し卒業。日本の獣医師国家試験に合格後、現在は宮崎県で牛獣医師として勤務。3児の母。

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この記事では、実際にフィリピン大学獣医学部を卒業し、農水省の審査を経て日本の獣医師国家試験に合格した私ぱぐが、その手続きを実体験をもとに完全ガイドします。

全体の流れ:卒業から国家試験合格まで

  1. フィリピン大学獣医学部を卒業
  2. 農林水産省へ「獣医師国家試験受験資格認定申請」を行う
  3. 農水省による書類審査(約3ヶ月)
  4. 認定通知を受け取る
  5. 国家試験対策(各地の獣医大学などで研究生としてあるいは完全独学で受験勉強)
  6. 獣医師国家試験受験・合格

私の実体験でのタイムラインは次の通りです。

  • 6月下旬:フィリピン大学卒業・書類申請
  • 9月中旬:農水省より認定通知受け取り(約3ヶ月)
  • その後:宮崎大学に研究生として入学、半年間で国家試験対策
  • 翌年2月:獣医師国家試験受験・合格

STEP1:農水省への「受験資格認定申請」

申請に必要な書類(公開情報)

必要書類は農林水産省のウェブサイトで公開されています。海外獣医大卒業者の受験資格認定には、主に以下のような書類が必要です(詳細は必ず農水省の最新情報を確認してください)。

  • 卒業証明書(翻訳付き)
  • 成績証明書(翻訳付き)
  • 履修科目の詳細(シラバス等、翻訳付き)
  • その他農水省が求める書類

すべて英語の書類を日本語に翻訳して提出する必要があります。翻訳の手間と費用がかかりますが、これは避けられないステップです。

「卒業見込み」は原則NG——私が経験した特殊事情

ここが海外獣医大卒業者にとっての最大のネックです。

日本の獣医大生は「卒業見込み」の状態で国家試験を受験できますが、海外の獣医大卒業者の場合、原則として「卒業後」に申請しなければなりません。

私の場合、フィリピン大学の卒業時期と農水省への申請締切がほんの数日差という状況でした。「1日差なのでご考慮いただけないか」とダメ元でお願いの手紙を添えて申請したところ、奇跡的に認められました。しかし担当官が変わった後輩の話では「今後は例外を認めない」と言われたとのことでした。

卒業月と申請スケジュールを事前に農水省に確認し、余裕を持って準備することが非常に重要です。

審査期間:約3ヶ月

農水省の審査は年2回実施されています。私の場合、6月下旬に申請して9月中旬に認定通知を受け取るまで約3ヶ月かかりました。この間は審査待ちとなるため、実習を行ったり次のステップの準備をしたりする時間として活用できます。

私は審査待ちの期間中に、北海道(別海にあるTHMS)、長崎(壱岐の市管轄診療所)、宮崎(NOSAI)の3か所で実習を経験しました。大動物か小動物か、どの分野で働くかまだ迷っていたので、さまざまな現場を見られたのは良かったです。

STEP2:認定通知後の国家試験対策

宮崎大学の研究生制度を利用する

認定通知を受け取った後、私は宮崎大学に研究生として入学し、約半年間で国家試験対策を行いました。

研究生制度は誰でも申請できますが、研究室に所属することになるため、事前に指導教員(教授)と話をつけておく必要があります。「受け入れてもらえる研究室・教授を見つける」ことが実質的な最初のステップです。

費用は入学金+月額の研究費(私の場合トータル数十万円)がかかりましたが、国試対策授業や小グループでの勉強会に参加できた経験を考えると、「それでも安い買い物だった」というのが正直な感想です。一人で勉強していたら合格できなかったと思います。

国家試験の難易度

獣医師国家試験は、日本の国内獣医大生も同じ試験を受けます。科目は広範囲にわたり、フィリピンで学んだカリキュラムとは一部ズレがある部分もあります。国試対策の期間をしっかり確保することが大切です。

まとめ:フィリピン獣医大卒から日本の獣医師になるためのポイント

  • 卒業後まず農水省への受験資格認定申請が必要(審査に約3ヶ月)
  • 書類は全て翻訳が必要。スケジュールを農水省に事前確認すること
  • 「卒業見込み」申請は原則不可(卒業後の申請が基本)
  • 認定後は宮崎大学等で研究生として国試対策を行うのが現実的。受け入れ教員の確保が先決
  • 国試合格まで「卒業してからも最低1年は見ておく」スケジュール感で動くのが安全

遠回りに見えるかもしれませんが、この道を歩んで獣医師になった実体験として——「やりがいのある仕事についている今」が答えだと思っています。

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フィリピン国立大学(UPLB)獣医学部に2012〜2016年の4年間在籍し卒業。日本の獣医師国家試験に合格後、現在は宮崎県で牛獣医師として勤務。3児の母。フィリピン留学・英語学習・現地生活について、4年間の在籍経験と医療系国家資格保有者の視点から本音で発信しています。