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【実録】脳なし金なし、それでも獣医師になりたい。私が獣医師になった方法。

おはようございます、ぱぐです。
この記事では、私が獣医師になろうと思ったきっかけやその後の進路状況を踏まえて、以下について解説しようと思います。

  1. 普通に国立や私立の獣医学科に入学せず、別の道で獣医師になる方法はあるのか。
  2. 別の道を選ぶことによるメリット/デメリット

進路に悩んでいる方のほんの一助にでもなれば幸いです。
ちなみに、タイトルの「脳なし金なし」は私自身を指したもので、他意は一切ありませんので悪しからず^^

高校生の私「獣医師かぁ~面白そうかも」

私が通っていた高校では、高校1年生の終わりごろに文系に進むか理系に進むかの選択を迫られます。他の高校も似たような時期に分かれるのでしょうか。1年間の高校生活を経て、「文系科目よりは理系科目勉強してる方が楽しいかも」という私的感情全振りのふんわりした理由で私は理系を選択しました。将来の進路についてちらほら話す機会が増え始め、自分の周りに獣医師志望の友人が意外と多いことに気づきました。その影響もあり、自分の中で明確な目標がなかったことも相まって「獣医師かぁ面白そうかも」と高1の終わりに漠然と「獣医師」が自分の将来の夢になりました。

ただし残念ながら現役合格ならず、一浪しても国立の獣医大には合格しませんでした。死に物狂いで勉強した記憶もないので、そりゃ受からんわ( ゚Д゚)と今なら思います。親には本当申し訳なかったですが・・・。私立の獣医大も自分の中であまりピンと来ず(そもそも受からなかった可能性大ですが)、滑り止めとして受けたのはとある私立大学の動物系の学科でした。

九州保健福祉大学 薬学部 動物生命薬科学科

九州保健福祉大学は宮崎県にある私立大学です。薬学部薬学科が同大学では最大規模ですが、私が入学した学科は薬学部内の別学科で、私が受けたときはまだ卒業生も出ていないほどの新設学科でした。「よし、滑り止めはもうここで決定!」と直感的に決めた理由は、学科紹介の説明文に「獣医師志望者は、当学科からフィリピン大学獣医学部に3年次編入可*」という文言があったからです。国立の結果が出た時点で、少しでも学費を抑えられないかなという期待のもと、同学科を受験し直し、無事授業料半額免除の特典をゲットしました。
*現在、制度の変更に伴いフィリピン大学獣医学部の2年次への編入学となっているようです。

留学要件とその難易度

こうして、結果的にフィリピン大学獣医学部への編入に可能性を託して無名の私立大学に通い始めたわけです。1学年が30人ほどの学科でしたが、入った当初はその半数近くが留学希望者でした。ちなみに当時の留学条件は
①2年間の成績を5段階評価の4以上取得 に加え、
②TOEFL成績は現地での事前授業を条件に40以上。
留学条件としてはめッちゃくちゃ甘いんじゃないかなと思います。今はもう少し条件厳しくなってるかもです。(ちなみにTOEFL61点が一般大学レベルです)

入学当初15人程度いた留学希望者。最終的に何人留学したのか?

さぁ、2年後留学できた学生は何人だったと思いますか?
私を含めて4名です。微妙な人数・・・多いのか少ないのか・・・。決して難しい条件ではないと思うのですが、条件をクリアできなかったというよりは、モチベーションが続かなかった、あるいは短期研修で獣医学科のキャンパスを訪れた際に生活環境が合わないと感じた、そういった理由で断念した人が大多数のようでした。
お世辞にも日本のようにキレイな生活環境ではないので、こればかりは仕方がありません。

同大学からフィリピン大学留学1期生として獣医学部へ編入学が決まり、その後も毎年複数名の学生が留学しています。

普通に国立または私立の獣医学科に入らず、獣医師になる方法とは。

通常の大学入試で獣医学科には受からなかったものの、運のいい巡り合わせで結果的に私は獣医師になりました。
ちなみにここで言う「普通」とは、現役または浪人して1月に共通試験を受け、その後各獣医大学の前期・後期日程で大学合格を狙う方法のことを指します。
それ以外で獣医師になる方法は、私が知る限り3つです。

  1. とりあえず獣医学科のある大学の別学部・別学科に入学して「転科」
    ⇒調べてみましたが、資料が公開されているのは麻布大学だけのようです。一部国立大学でも数年前まで実施されていたようですが、現在は一律募集停止措置となったとのこと。
  2. 4年制大学を卒業、または卒業見込みの状態で「学士編入」
    ⇒対応大学のリストと試験内容は日本獣医学会のページにあります。
    「学士編入 獣医」でググってみると◎
  3. 海外の獣医大を卒業し、必要な書類審査を受けて日本で国家試験を受ける
    (九州保健福祉大学からはフィリピン大学獣医学部への2年次編入が可能)

①に関して言えば、一律募集停止という対応から見て、順当に通常通りの入試で受けるべし、例外は認めない、みたいな圧を感じますね。国立大学なのでその辺は厳しくなったのかもしれません。麻布大学はネットにも資料が転がっているくらいですから、もしかしたら現在でも転科試験は実施されているかもしれませんが、詳細は不明です。

ちなみに、海外で獣医師免許を持っていたとしても、日本で獣医師になろうと思ったら③の手順は必要不可欠です。どのようなカリキュラムで獣医学諸々を学び、その内容が日本の獣医国家試験を受けるに値するか、農水省で審議した上で「国家試験受けていいよ」の通知が届きます。何人たりとも日本の国家試験を受けなければ国内で獣医業務はできません。

メリット・デメリット

↑の選択肢①のメリット
・転科が一発で通れば最短ルート
・転科できなくても選択肢②を検討する余地が生まれ、準備も万全にできる。

デメリット
・転科は麻布大学しかない。
・難易度が未知数
・転科できなくて選択肢②に移行する場合、獣医になるまでに少なくとも9年(元の学科4年+2年次への獣医学科編入でさらに5年)はかかる。

↑の選択肢②メリット
・選択肢①よりは実施している大学が多い。
・通常の入試と異なって、勉強科目が少なくて済む。

デメリット
・難易度が未知数
・獣医になるまでに少なくとも9年(元の学科4年+2年次への獣医学科編入でさらに5年)はかかる。

↑の選択肢③メリット
・提携大学なら留学しやすい。
・英語圏の大学であれば英語の論文(文献)に強くなる。
・難易度が推定できる。
(留学先、留学条件などによる)

デメリット
・日本語以外の言語で勉強する。
=留学中、人より多くの勉強時間を要する→慣れの問題
=国家試験対策時、日本語で勉強し直すのに時間がかかる→大多数の人と異なり、卒論等がないので計画的にやれば時間は問題にならない。
・留年リスクが日本より格段上。
=卒業まで何年かかるか分からない。
・農水省の書類審査のハードルが未知数(*後述)

選択肢③のデメリットとして挙げた「農水省の書類審査のハードルが未知数」という点に関して、私自身、自ら書類を作成して審査を受けて感じたことは「言われた通りに作れば何とかなる」というもの。足りない点があればメールや電話で「こういった書類を追加で準備してください」と連絡がきます。送ったものだけで書類審査して「足りなかったから不合格!また次回!」みたいな血も涙もない鬼対応ではありませんでした。但し、もしかしたらその時々の担当官によってその親切度合いは変わるのかもしれませんが・・・^^;

国家試験を受けられるかどうかは農水省の審査次第

日本国内の獣医大なら当然カリキュラムは把握されているので、無条件に国家試験を”卒業見込み”で受験することができます。

しかし海外獣医大卒業の場合、どういうカリキュラムで学んできたのか、日本の国家試験を受けて獣医師免許を与えても問題がないかどうか、政府は吟味する必要があります。

複数の必要書類をそろえた上で、書類申請するのに1点だけどうしてもクリアできない条件がありました。それは『海外獣医大卒の場合「卒業見込み」による審査は本来受け付けない』というもの。本当にただの偶然で、卒業日と書類の締め切り日が1日違いとかだったんです(フィリピン大学留学当初、卒業月は4月だったのが、何かの理由でずれて以降6月下旬に。そしてその書類の締め切りも6月下旬。でも審査は9月)。その数日の差で国家試験を受けられるのが1年延びてしまうなんて、なんだか口惜しい。

ということで、「ほんの1日差なんです。なんとかご考慮して頂けませんか」っていう内容の手紙をダメ元で添えて書類申請してみました。
これがなんと奇跡的に通ったんですね~。どういう経緯で審査が通ったのか、裏側は知りようもありませんが、ダメ元でもお願いしてみるもんだなって思いました。

しかし私が申請したときと担当官が現在変わっているようで「もう今後は例外認めない!」とかって言われたとか言われてないとか・・・。後輩談。審査は年に2回行っているようなので、卒業後の直近の審査を受ければ何の問題もないのですけどね。できれば卒業年度の国家試験を受けたいじゃないですか。ただでさえ留学で年数かかってるので。笑

選択肢③に関して、もう一つメリットを挙げるとするなら、実は場合によってはこちらも最短ルートになりえます。九州保健福祉大学に2年間通い、その後フィリピン大学の2年次へ編入。フィリピンも獣医学科は6年制なので、残り5年間を死に物狂いで勉強して留年せずにストレートで卒業できれば、トータル7年間で獣医学科卒業となります。卒業月が6月のため、獣医国家試験を受験する年は8年目の年度末になってしまいますが、それでも学士編入よりはこちらの方が再現性高いんじゃないかなと個人的には思います。

まとめ

順当な大学受験以外の方法で獣医師になる方法をお伝えしました。

  1. 転科
    →麻布のみ。難易度未知数。
  2. 学士編入
    →国立/私立ともに複数大学あり。難易度未知数。
  3. 九州保健福祉大学+フィリピン大学獣医学部編入学
    →入学と留学要件の難易度低い・編入後の進級難易度高い。 

私は③のルートで獣医師になりました。完全に偏った持論ですが、上記の3つの選択肢で再現性が高いのは圧倒的に③だと思います。もちろん卒業と国家試験合格を確約するものではありません。学士編入で獣医師になった友人もいるので(その方は日獣へ編入学しました)、機会があればインタビューしてみようかなと思います。

ABOUT ME
ぱぐ
30代会社員。現在2児の母。趣味は高配当株メンテ・探し、日本舞踊、油絵。リベ大のYoutube動画にハマってお金の勉強中。苦手なことは料理。